特別なケアを必要とする保護犬・保護猫のためにできること

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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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たとえ健康でも、生き物を飼うということには大きな責任が伴いますし、動物のために使う時間や労力は少なくありません。ましてや、特別なケアを必要とする動物をペットとして迎い入れることは、なかなか簡単なことではないでしょう。Petfinderによると、このような保護犬や保護猫は、譲渡先を見つけるのに最大4倍も長くかかり、場合によっては2年もかかることがあります。特別なサポートを必要とする動物を迎え入れることは、誰にでもできることではないので、慎重に考える人が多いのでしょう。

このような保護犬・保護猫を受け入れてくれるのは、温かい家庭や必要なケアを提供する愛情と環境のある人々です。動物の終の棲家が見つかった時は、本当にうれしいものです。これが、動物シェルターが障害のある動物にふさわしい家庭に譲渡するためのマッチングに熱心に取り組んでいる理由の一つです。

特別なケアを必要とする保護動物とは?

草の中に横たわっている間に喘ぐ黒いシニア犬.ノースカロライナ州アシュビルを拠点とする動物シェルターの一つであるBrother Wolf Animal Rescue (BWAR) の代表、アンディー・ビンガムさんによると、特殊なケアを必要とする保護動物を、「スタッフ、ボランティア、一時預かり先、飼い主候補による特別なケアや注意を必要とする行動または医学的問題を抱える子」と定義しているそうです。

こういった保護動物たちの例として、耳や目、身体の障害をもっている場合や、猫AIDSのキャリア、癌、心疾患、加齢に伴う健康トラブルをもつ高齢のペットのような慢性疾患やターミナルケアが必要な状態の動物、あるいは虐待やネグレクトに起因することの多い問題行動のある動物などが含まれます。

譲渡先を見つけるために実施されること

このようなペットたちのための譲渡先を見つけるためには、多くの準備が必要です。それは、保護動物たちに対してだけではなく、将来の飼い主さん候補にとっても同じです。前出のビンガムさんは、「私たちにとっては、動物1頭1頭がふさわしい家庭に迎えられることがとても大事なことなのです。特別なケアが必要な動物となると、動物と飼い主両方に対するサポートやトレーニングをより多く提供する必要があります」と話しています。

シェルターが行う保護犬のための支援には、トレーナーと行動専門家が共同で行動に問題のある犬をトレーニングして社会化させるための「行動チーム」によるものと、獣医師が特別な医療ケアを提供する「医療チーム」によるものとがあります。これらを必要とする犬は装具や運動補助具を与えられ、 同時に生活の質を改善するための理学療法や薬物治療も受けます。

ビンガムさんが話す「(保護犬・保護猫が)ふさわしい家庭にマッチングされることが重要」という内容のとおり、飼い主候補も厳しいトレーニングと評価を受けます。「必要とする支援の種類や度合いによって、特別な環境づくりが必要になることもあります。たとえば、逃走するリスクのある非常に怖がりの犬の場合には、おそらく1.8m程度のフェンスを設置する必要があるでしょう」

BWARのスタッフは、保護動物と候補の家庭とのマッチングをする時、それぞれの動物に必要な支援をひとつずつ検討します「私たちの行動チームは、数日から数週間、候補の家族とともに日常生活に近い暮らしをしてみて、適切なマッチングであること、家族みんなが関わって適切なトレーニングを受け、家庭で犬を安全かつ幸福に飼育していることを確認します」と、トライアル期間を設けて慎重に見極めているそうです。

保護動物の譲渡に際して必要なこと

シェルターとしては、このような特別なケアを必要とする保護動物たちを誰にでも譲渡する、というわけにはいかないということを説明してきましたが、譲渡先の候補家族として検討されるには、一定の要件を満たしている必要があります。必要なケアをペットに施すことのできる能力があることは大事なことですが、それ以外にも、BWARは飼い主候補にはペットの起こす問題に逐一臆することなく、落ち着いて対処できるような気持ちの強さを求めています。シェルターのスタッフの行動チームと医療チームのアドバイスと説明に耳を傾け、生涯にわたって続くことも承知のうえでやり通す意志をもち、動物のケアに率先して取り組む人を探しているのです。

飼い主家族へのサポート

草の中を走る犬の車いすを持つチワワ。このようなタイプの譲渡の重要な一面は、保護動物と新しい家族に対する継続的なサポートです。ビンガムさんも以下の様に話しています。「特別な支援を必要とする動物をその家庭でずっと飼育し続けるために最も良い方法は、シェルターが譲渡後も継続的にサポートすることだと考えています。私たちのチームは常に質問に答え、迎え入れ後に生じる可能性のあるあらゆる問題の解決を支援できるようにしています。私たちの目標は、できる限り愛情のある家庭で動物を飼ってもらうことだからです」

この目標は大半のシェルターで共通していて、譲渡後にサポートを提供していますが、BWARは他のシェルターが「生涯にわたる友達プログラム」で提供しているものをはるかに超えて、ペットの生涯にわたって行動サポートや医療的ケア、そして条件を満たす動物に対してはフードも提供しています。「なかには私たちの手厚いサポートを期待して、特別なケアを必要とする動物を迎える人々がいることはわかっています。ただ、ペットが必要とする継続的・専門的なケアや費用は、飼い主となった新たな家庭に負担していただくことにしています」とビンガムさんは話しています。

幸せなハッピーエンドのために

障害をもっていたり、深刻な病気を抱えていたリする動物が生きていくことは実際とても厳しいことです。でも、相応しい家族とマッチングできれば、その後ずっと幸福に過ごせる可能性があります。ビンガムさんは、ミスティカの話をしてくれました。ミスティカは、シェルターに保護されたフラットコーテッド・レトリバーとオーストラリアン・シェパードのミックスで、見知らぬ人に非常に強い不信感があることから、長らく譲渡が困難でした。「シェルターを訪れた人がケージをのぞき込むと、跳び上がって吠えたり唸ったりしてしまうのです・・・。ご想像の通り、誰もがミスティカを怖がり、関心をもたれることもほとんどありませんでした」

ある時、とある家族がミスティカのプロフィールをネットの情報で見て、関心をもってくれました。行動チームはミスティカの問題と必要な支援を説明しましたが、その家族がミスティカへの関心を失うことはありませんでした。シェルターは数週間、候補の家族と協力し、ミスティカが新たな家庭に迎え入れられるあらゆる準備を進め、ついに譲渡を果たしたのです。

ビンガムさんはミスティカの譲渡から間もなく新しい家を訪ねたところ、「ミスティカはまったく別の犬のようでした」と驚きを隠せなかったそうです。「家族は道路から離れた広大な土地に住み、訪れる人はほとんどない静かな環境で過ごしていました。まれに来客があったとしても、郵便配達員のような決まったことをしてすぐ帰る人が大半なので、ミスティカの『見知らぬ人が怖い』性質は、もはやめったなことでは問題にはなりません。最高の家族であり環境ではないでしょうか。今、ミスティカはとても穏やかで幸福です」

特別な支援を必要とする動物を迎え入れるという挑戦は、正直に言えば誰でもできることではありません。しかし、あえて行う飼い主は、それが労力と出費をかけるに値する非常にやりがいのある経験であることを知っているのです。

大事なのは、特別なケアを必要とする保護犬・保護猫は、健康なペットとまったく同じように飼い主の愛情を受け入れることができ、たとえ障害や問題があっても家族になった人々に大きな喜びをもたらしてくれるという事実を忘れないことです。特別なケアを必要とする動物に対して、もし自分が愛情深く育てる家庭を提供するための条件を満たしているかもしれないと思うのなら、お住まいの地域の動物シェルターに連絡することからはじめてください。または、ヒルズと提携している 地域シェルターを調べて、家族の暮らしをより温かく豊かにしてくれる保護犬・保護猫を見つけてください。

Contributor Bio

ジーン・マリー・バウハウス

ジーン・マリー・バウハウス

オクラホマ州タルサ在住のペットオーナーでもあるペットブロガー兼小説家。いつもペットたちに見守られながら執筆活動に勤しんでいる。

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