犬や猫はインフルエンザにかかるのか?

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寒い毎日が続いています。乾燥して寒い冬のこんな時期に気を付けたいのがインフルエンザです。同僚や子供の友達がインフルエンザに感染した、と聞くと「マスク、手洗い、うがい」と気を付け度合いアップです。ところで、このインフルエンザ、犬や猫にも感染するのでしょうか?

日本ではまだ報告がありませんが、海外では、犬や猫のインフルエンザの感染、そして流行の報告があるのです。

2004年に呼吸器疾患に罹患したグレイハウンドが米国フロリダ州で確認されました。H3N8型のインフルエンザで、馬から伝搬して、犬に感染するように変異したものだったようです。症状は人と同じような呼吸器の症状(くしゃみなど)や発熱だったようですが、犬から犬への強い伝搬能力を持っていたようです。

2016年には米国ニューヨーク州の猫の保護施設で多くの猫がH7N2型のインフルエンザにかかり、報告されました。これは鳥から伝搬し、猫に感染するように変異したもので、猫から猫への感染のみならず、猫から人への感染も報告されました。症状は発熱、鼻水、鼻づまりなどが認められたそうです。

H3N2型のインフルエンザも犬への感染が報告されており、こちらも鳥由来ですが、感染は中国や韓国で発見されました。日本にはまだ報告がないとはいえ、お隣の国では報告があるので、気を付けたいですね。

ちなみに、HとかNというアルファベットで型を表現していますが、これはウィルスの表面についているタンパク質、ヘマグルニチンのHとロイノミニダーゼのNから来ています。Hは16種類、Nは9種類あって、この2つの組み合わせでいろいろな亜型に分類されています。単純に計算してもインフルエンザには144種類の亜型があり、性質が皆異なるので、インフルエンザのワクチンを作るのも大変なようです。

インフルエンザウィルスは80-120nm(1nmは1mmの1/100)の大きさしかありません。目に見えるものではないので、どこにいるかいつ感染するか誰も見えません。日本の場合野鳥がウィルスを持ってきていることもありますから、海外からの侵入を人が防ぐこともできません。気を付ける方法としては、鳥が多くいるような場所にあえて犬を連れて行って散歩をさせたり、野鳥と遊ばせたり、野鳥の羽を拾ったり、鳥のうんちをなめさせたりすることは避けましょう。猫はおうちの中で十分幸せに暮らせる動物ですから完全室内飼育を心がけましょう。また、万が一犬や猫が風邪のような症状を起こしたら、獣医さんにご相談ください。
 

irimajiri

執筆者 経歴

入交眞巳
 

日本獣医生命科学大学卒業、獣医師。アメリカの大学院に留学し、動物行動学の研修医を経て現在米国獣医行動学専門医。専門は人と共に暮らす動物の気持ちを読み、人と動物の関係をストレスのない状態にすること。より幸せな共生を目指しています。どうぶつの総合病院、行動治療科主任。日本ヒルズ・コルゲート(株)学術アドバイザー

 

 

 

 

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