猫のホンネがわかるかも:鳴き声のもつ意味

執筆: クリスティーン・オブライエン
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猫の鳴き声、というとどんなものが思い浮かぶでしょう?食器の周りをウロウロしながららこちらを見つめて鳴く、"ニャーニャー"(エサをください~)だったり、ゴロゴロ・・やシャーッ!などでしょうか。猫は人と暮らすようになってから、このような鳴き声によって人とコミュニケーションをとるようになったようです。猫ちゃんによってもおしゃべりさんがいたりもします。さらに猫も高齢になると、加齢による視力や聴力の衰えからくる不安や、何らかの体調の変化などにより、以前よりもよく鳴くようになる傾向があるようです。

それでは、猫のさまざまな鳴き声とその意味をご紹介します。お互いに心地よく暮らすために、愛猫の気持ちをさらに深く理解していきましょう。

1. ニャー

猫の鳴き声といったら、まず思い浮かべるのはこのニャーでしょう。ニャーンだったりニャーオだったりすることもあります。猫の飼い主さんであれば、おそらくすでにこの典型的な鳴き方のときの猫ちゃんのキモチに気付いているのではないでしょうか。実は猫は猫同士でこのニャーと鳴き合うことはめったにありません。猫ちゃんは飼い主さんに対して鳴き声を使い分けて話しかけているのです。

おしゃべり猫さん

個別でよく鳴くおしゃべりな猫さんもいますが、猫の種類によってよく鳴くことで知られている猫種もいます。たとえばシャムは特徴的なしゃがれ声でたくさん「おしゃべり」をするので有名です。ASPCAでも、「シャムなどのように、猫の中にはよく鳴く種類がいます」と説明しており、そういった猫を飼うと小さくもにぎやかな家族を持つことになるでしょう。それとは対照的に、シャルトリューはおとなしいことで知られ、めったに鳴き声を上げません。このように愛猫の通常の行動を知ることは、鳴き方が増えたり減ったりした場合に猫ちゃんの体調に変化があったことをいち早く気付くことに役立ちます。

要求、甘えの"ニャー"

猫の典型的な"ニャー"という鳴き声は、何かの要求を表しています。鳴き始めは穏やかな声で、控え目に短く甘えるように鳴きます。猫が「ニャー」と鳴くときは一般的に、「ごはんください」「ドアを開けて」「トイレを掃除して」「遊んで」「撫でて」などと要求しているのです。なかなか相手にしてもらえないと、だんだん長く引き延ばされた鳴き方になっていきます。要求に応じないでいると、声のトーンがだんだん低くなり、しつこくうるさく、時には耳元までやってきて鳴き続けます。また、このニャーに喉を震わせる音(クルル・・、グルル・・など)と一緒に発せられるときは、喜びや嬉しさといった感情が含まれていると思ってよいでしょう。

発情期

避妊処置をしていないメスの猫は、発情期を迎えると独特の声音でうるさいと思えるくらいの音量で鳴きます。アオーンといった特徴的な鳴き声は発情期のサインで、メスの鳴き声に反応してオスも同じように大きな鳴き声をあげます。避妊手術をすることで、こうした発情による行動は見られなくなります。

ストレスを感じているとき

猫がストレスを感じている場合、うるさく鳴き続けることがあります。仕事の予定が変わって在宅時間に変化があった、引っ越しをした、新しいペットを迎えた、などいつもと違うことがあると、猫は普段よりもたくさん鳴くようになることがあります。また、健康上の問題がある場合でも、鳴く頻度が増えたりいつもとは違った鳴き声になることがあります。たとえば排泄時に痛みがあったときにトイレで鳴いたり、関節などに痛みがある場合などです。さらに高齢猫では、声が聞こえない不安からより大きな声で鳴くことがあります。普段よりもよく鳴くときは、何らかの疾患の可能性もあるため、獣医師に相談しましょう。

2. ゴロゴロ

帰宅後に、愛猫が擦り寄って鼻を押しつけ、喉をゴロゴロ鳴らしてくれる・・・これほど幸せなことはありませんよね。 このゴロゴロですがTrupanion*²で、子猫は目も見えず耳も聞こえない状態で生まれ、喉をゴロゴロ鳴らして母猫との初めての意思疎通を行っていると説明しています。そして猫という猫はみんな、生涯この方法を使い続け、それは飼い主に対しても同じなのです。猫がゴロゴロ喉を鳴らすとき、よく注意して聞いてみてください。声のトーンや喉の振るわせ方にわずかな違いがあることに気付くでしょう。

猫のゴロゴロ音は感情表現で、ほとんどの場合は満ち足りていて気分がよいことを意味しています。ただし、猫はストレスや恐怖、痛みを感じたときにも、自分を落ち着かせるために喉を鳴らすことがあり、天国へと旅立つ間際にさえ、ゴロゴロと慣らすことがあります。そのため、そのときの状況も併せて判断が必要な場合もあります。さらに、猫が喉を鳴らす振動数には骨の治癒を促す作用があるという研究報告もあるようです。ゴロゴロという音が、猫と飼い主の気持ちと体調を良くする猫独自の振動治療薬となると考えたら、今まで以上に猫とのモフモフな時間を楽しみたいですね。

3. シャー!

猫は恐怖を感じたり防御体勢で威嚇する場面で、「シャー!」と鳴いたり「カッ」と鋭く唾を吐くような音を出したりします。この唾を吐くような音は人が驚いたときに息をのむ行為に当たるといわれ、「シャー!」というのは近寄るなという警告を意味しています。猫にとって不安や恐怖を感じるシーン、たとえば見知らぬ人の訪問や見知らぬ動物との遭遇、知らない場所や聞きなれない大きな音などに対して、「シャー!」と鳴きます。

このような状況のときは、とにかく猫から距離を置いて落ち着くまで待ってあげましょう。無理やり触ったり撫でたり、怯えている猫を見つめたりするだけでも、ますます怖がらせてしまい、「シャー!」がやがて「言うことを聞かないと襲いかかるぞ」といううなり声に変わることもあります。さらに状況によっては引っ掻かれたり嚙まれたりなどの事故に発展してしまうこともあります。まずは興奮状態を落ち着かせて、猫ちゃんとの大切な絆を壊さないように、猫の「そっとしておいて欲しい」という気持ちを尊重してあげましょう。

4. 遠吠え(アオーン)

猫も、犬の遠吠えに似たような鳴き声を出すことがあります。先に紹介した発情期の際の鳴き声が代表的です。

そのほかにも、どこかに閉じ込められたとき、あるいは病気や怪我で体調が悪いときなどにこのような鳴き声を発することがあります。さらに猫でも高齢による認知障害によって認知症に似た行動を取り、混乱したときに遠吠えをすることがあります。

また、猫は獲物を捕まえたときなど飼い主に対してアピールしたいときにも遠吠えをすることがあります。

5. クラッキング

クラッキングとは「クククッ」、「カカカッ」といった鳴き声のことで、猫の狩猟本能によるものとされています。窓の外に鳥やリス、ウサギなどを見つけたときなどの決まった状況でのみ見られ、鳥のさえずりのように甲高い声を出したり(クラッキング)、クルルと喉を震わせたりして家族に状況を知らせます。この音は猫が興奮状態であることを示しており、猫たちはこの独特の声で鳴き交わし合います。また、ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)によると、母猫も喉を震わせるようにして子猫たちに話しかけ、しつけをしているということのようです。

いかがでしたか。愛猫が立てる音にしっかり注意を向けて、猫ちゃんのホンネに気づけるようになることは、健康で安全に心地よく暮らすことに大いに役立ちます。猫ちゃんとの生活をめいっぱい楽しみましょう!


参照先:
*1 https://www.aspca.org/pet-care/cat-care/common-cat-behavior-issues/meowing-and-yowling
*2 https://www.trupanion.com/pet-blog/cat-care

Contributor Bio

Christine O'Brien

クリスティーン・オブライエン

 

英文学の博士号を持つクリスティーン・ブロヴェリ・オブライエンは優れたライターで、根っからの動物好きです。Cat Writers' Associationのプロフェッショナル会員で、その作品はMuse MedallionsならびにCertificates of Excellenceを受賞しています。ペットの健康や行動の研究をしていないときは、1人の子どもと4匹のペットの世話で忙しい毎日を過ごしています。

 

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